ダイカスト製品の製造範囲の広がりは、留まることを知りません。

特に、自動車パーツの製造において、ダイカストにおける鋳造技術は、なくてはならない存在となっています。

実際の鋳造環境下で求められるのは、原因不明の鋳造欠陥によるリスクの低減と歩留まりの向上です。

歩止まりという言葉について簡単に説明すると、歩止まりは製造製品の良品の割合を意図します。

つまり、歩止まりを見れば、どれくらいの割合で良品が製造されているかがわかります。

そのため、弊社の工場では、どうすればダイカスト製品の歩留まりの向上を実現できるか、日々思考錯誤が繰り返されています。

現在、ダイカスト製品の歩止まりの向上において大きく注目されているのがジェットクールと呼ばれる冷却装置です。

今回は、ジェットクールとはいったいどのような冷却装置なのか、中子を使用する際の困りごとから、ジェットクールを利用すると歩留まりが良くなる理由、実際に製造したダイカスト製品の例をわかりやすく解説していきます。

▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。

ダイカスト金型で中子を使用する際の困りごと

ダイカスト金型で中子を使用すると、中子周りで2つの鋳造欠陥が頻繁に生じます。

どのような困りごとが生じるのか、後述するジェットクールの必要性を理解するためにも、代表的な鋳造欠陥についてまとめていきます。

①中子に焼き付きが発生する

ダイカスト金型で中子を使用すると中子に焼き付きが発生します。

焼き付きは、金型に対してダイカスト合金が融着することで発生します。ダイカスト合金が金型表面に残っていると、次々と鋳物に痕が残ります。

この痕が残っていると、どうしても寸法精度が損なわれてしまいます。

つまり、問題の解決のために、メンテナンスやコストといった時間的な手間や金銭的な負担が発生します。

②中子周りに不良が発生する

中子周りは、空気やガスが入りやすく、巣穴や圧漏れ不良といった鋳造欠陥が生じやすいです。

巣穴や圧漏れ不良は、鋳物の強度低下につながるため、中子を使用する際の困りごとのひとつといわれています。

ジェットクールとは

中子を使用する際の困りごとの解決には、ジェットクールの利用が非常に役立ちます。

ジェットクールとは、中子を内部から冷却するための金型の冷却装置のことで、焼き付きによる問題を防ぎ、連続的な鋳造が可能となります。

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ジェットクールでダイカストを製造すると歩留まりが向上する4つの理由

なぜ、ジェットクールを使ってダイカストを製造すると、飛躍的に歩留まりが向上するのでしょうか。

次に、歩留まりが向上する代表的な4つの理由についてご説明します。

理由①：中子の焼き付き防止ができるから

中子の焼き付きの主な原因は、細い中子ピンの高温化によるものです。

ジェットクールを利用すれば、中子ピンの内部からの冷却が可能となるため、焼き付きを防止できます。

理由②：中子のメンテナンス時間を削減できるから

中子の使用による困りごとを回避するために1日1回以上の磨きのメンテナンスをしている会社は少なからず存在します。

ジェットクールを利用すれば、磨きのメンテナンスの必要性がなくなり、中子のメンテナンス時間を削減できます。

理由③：中子周りの巣穴対策になるから

ジェットクールを利用すると、中子周りの凝固が早くなります。

その結果、鋳巣が端に追いやられ、巣穴による鋳造欠陥がほとんどなくなります。

理由④：中子周りの圧漏れ不良を減らすことができるから

ジェットクールを利用すると、非常に緻密で硬い領域とされるチル層が形成されます。

その結果、中子周りの圧漏れ不良が減り、歩留まりの向上を実現できます。

ジェットクールで製造したダイカスト製品例

ジェットクールは、複雑な形状をした自動車パーツで使用されるケースが多いです。

たとえば、ハウジングガバナー（エンジンと変速機を結合するケース部品/潤滑油の受け皿）やシリンダー（回転エネルギーを生み出すための気体を内部に納める部品）などで、ジェットクールが効果を発揮します。

他にも、トランスファーケース（縦置きエンジン用/駆動力や回転をタイヤに伝えるための部品）といった製品製造において、歩留まりを向上できます。

まとめ

ジェットクールを利用すれば、今まで冷却が難しいと思われていた細い中子ピンを簡単に冷却できます。

これにより、中子のメンテナンスを1日1回以上行うため多くのメンテナンス時間を要していた会社は、磨き時間を削減できます。

強くて丈夫なダイカスト製品の製造において中子周りの巣穴対策は欠かせません。

ジェットクールがあれば、中子周りの凝固が早くなり、巣穴や圧漏れ不良といった鋳造欠陥によるリスクを限りなくゼロに近づけることができます。

もし、ダイカスト製品の製造にお困りなら弊社にご相談ください。

歩留まりを向上させるため、ジェットクールを使用し、日々思考錯誤を行っているため、鋳造欠陥のない優れた製品のお届けが可能です。

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