ダイカストのインサート成形には「高い生産性」「精度の高さ」「寸法の安定感」といったさまざなメリットがあります。
具体的なメリット・デメリットを確認することで、自社に必要な工法かどうかを判断することができるでしょう。
この記事では、ダイカストのインサート成形の特徴やメリットについて解説します。
目次
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ダイカストのインサート成形のメリットについて
結論を伝えますと、ダイカストのインサート成形にはたくさんのメリットがあります。
一方、明確なデメリットは初期費用が高額であることのみです。
ただ、ダイカストのインサート成形のメリットを紹介するには、先に「ダイカストのインサート成形とは」という点を理解しておかなければなりません。
ダイカストのインサート成形
「ダイカストのインサート成形」という言葉を聞いても、鋳造に詳しくない方は明確なイメージを持てないと思います。
まずは、「ダイカストのインサート成形」を「ダイカスト」と「インサート成形」に分けて考えてみましょう。
ダイカストのインサート成形について、下記の3点で解説します。
- ダイカストの特徴とは
- インサート成形の特徴とは
- ダイカストのインサート成形の特徴とは
ダイカストの特徴とは
ダイカストとは、アルミや亜鉛などの溶かした非鉄金属の合金を、金型に高速かつ高圧で注入することで製品を鋳造する技術です。
そのスピーディーな鋳造がダイカストの特徴です。車の部品などの複雑な形状をした製品の鋳造でよく用いられます。
高温で溶かした合金を高圧で金型に注入することで、金型の細部までほぼ同時に合金が行きわたります。その後即座に冷却をはじめ、製品を形作る仕組みです。
インサート成形の特徴とは
インサート成形とはプラスチックの射出成形の一種であり、インサート品と呼ばれる金属の部品と樹脂やアルミなどの部品を一体化させて作る成形方法です。
たとえば、車のシフトレバーによくインサート成形が用いられています。シフトレバーは、樹脂でできたグリップ部分とインサート品である金属部分の2つで設計されています。
異なる素材でできているシフトレバーですが、別々の部品をくっつけているわけではなく、インサート成形により一つの部品として作られているため丈夫です。車のシフトレバー以外にも、金属と樹脂を一体に生産したい場合にインサート成形は用いられています。
ダイカストのインサート成形の特徴とは
ダイカストのインサート成形は、当然「ダイカスト」と「インサート成形」2つの特徴をあわせ持っています。
特徴を一言で説明するなら、異なる素材からできた製品を瞬時に生産できることです。事前に一つ目の素材をセットし、その後に液体状の二つ目の素材をダイカストで注入すれば製品が完成します。
ダイカストのインサート成形のメリット8つ
ダイカストのインサート成形の主なメリットとして下記の8つをお伝えします。
- 丈夫な部品を作れる
- 多機能な部品を作れる
- 生産性が高い
- 表面処理が簡単である
- 大量生産が可能である
- 軽量な部品を作れる
- 精度が高い
- 複雑な形状の製品を作れる
それぞれ解説いたします。
メリット①:丈夫な部品を作れる
ダイカストのインサート成形のメリット1つ目は、丈夫な部品を作れることです。
ダイカストで作る部品は、溶かした合金などの金属を高圧で注入して作られるため、シンプルながら頑丈に仕上がります。またインサート成形は、異なる素材を一体化させるため、別々の部品をあとから組み合わせる場合と比較すると、分裂しにくく丈夫な部品を生産できます。
メリット②:多機能な部品を作れる
ダイカストのインサート成形のメリット2つ目は、多機能な部品を作れることです。ダイカストのインサート成形なら、頑丈でありながら、異なる素材が一体化した部品を作れます。
そのため、機能性の高い部品でもシンプルな工程で生産可能です。
メリット③:生産性が高い
ダイカストのインサート成形のメリット3つ目は、生産性が高いことです。というのも、ダイカストは瞬時に金属を金型に注入して作るため、生産に時間がかからないからです。
また、複雑な形状の金型だとしても、金属の注入にかかる時間はほとんど変わらないため、形状に関係なくスピーディーに部品を生産できます。
メリット④:表面処理が簡単である
ダイカストのインサート成形のメリット4つ目は、表面処理が簡単であることです。金属を金型に注入するダイカストで作る部品の表面は滑らかに仕上がります。
そのため、鋳造後の部品の表面を簡単に処理できます。研磨するにしても、塗装するにしても、スムーズに作業を進められます。
メリット⑤:大量生産が可能である
ダイカストのインサート成形のメリット5つ目は、大量生産が可能であることです。ダイカストは金型を一度用意してしまえば、大量に部品を生産できます。
また、一回あたりの生産にかかる時間も短いため、大量の部品を短時間で生産できます。
部品を大量生産するとなれば、当然部品一つあたりにかかるコストを削減できるため、低コストでの生産が可能です。
メリット⑥:軽量な部品を作れる
ダイカストのインサート成形のメリット6つ目は、軽量な部品を作れることです。ダイカストなら複雑な形状の部品でも、無駄なパーツなしで生産できます。
また、インサート成形は異なる素材同士を一体化できるため、部品をつなげるためのパーツが不要です。
メリット⑦:精度が高い
ダイカストのインサート成形のメリット7つ目は、精度が高いことです。ダイカストで生産する部品の寸法が狂うことはほぼなく、鋳肌は滑らかに仕上がります。
複雑な部品だとしても、ダイカストでの生産の場合は問題にならず、安定して同じ寸法の部品を生産できます。
メリット⑧:複雑な形状の製品を作れる
ダイカストのインサート成形のメリット8つ目は、複雑な形状の製品を作れることです。
まず、ダイカストなら複雑な形状の製品でも簡単に作れるうえに、細く軽い部品でも安定して作れます。また、インサート成形なら部品と部品をまとめて一つの部品に作り上げられるため、複雑な接着などの手順が不要です。
ダイカストのインサート成形のデメリット
ダイカストのインサート成形のデメリットは、初期費用が高いことです。
デメリット①:初期費用が高い
ダイカストのインサート成形には、さまざまなメリットがあります。ただ、準備するための初期費用が高く、手軽には導入できません。
ダイカストのインサート成形は、大量生産に向いている射出成形です。そのため、部品の大量生産を予定しているなら、ダイカストのインサート成形の導入を検討するといいでしょう。
初期費用とダイカストのインサート成形のメリットを天秤にかけて、導入する価値があるかどうかを検討してみてください。
まとめ
ダイカストのインサート成形にはさまざまなメリットがあります。
導入時に高いコストが発生しますが、場合によっては生産性が格段に上昇します。
「ダイカストの利点がわからない」、「インサート成形のメリットをもっと知りたい」という方は、一度鋳造品メーカーなどに相談してみるといいと思います。
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