ダイカスト製品では、鋳造工程において様々な不具合が生じます。特に、鋳巣(ちゅうす)は代表的な鋳造欠陥で、対策をしなければ発生する可能性が非常に高いです。そこで本記事では、鋳巣(ちゅうす)が発生する原因から弊社の対策について解説します。
帝産大鐘ダイカスト工業が運営する薄肉・高精度ダイカスト 開発センターでは、お客様の技術課題、生産や調達に関するお困りごとを一緒になって解決に取り組みます。当社では高品質・コストダウン・製造リードタイムの短縮といったメリットを提供するために数々の技術提案も豊富にございます。アルミダイカストの技術を使って製品の軽量化を実現したいとお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
鋳巣(ちゅうす)とは
鋳巣(ちゅうす)とは、鋳造物の内部に空洞が発生する現象で、代表的な鋳造欠陥の一つです。対策をせずに放っておくと、表層にまで空洞が発生してしまい、組付け完成時に、エアーリーク、オイルリークに繋がり、製品として使い物にならなくなってしまう恐れがあります。
鋳巣の原因
鋳巣の原因は様々ですが、特に原因として考えられるものは下記のものがあげられます。
- 高速で溶湯がキャビティ内に射出される為に、射出スリーブ内、或い金型内の空気がキャビティ外に排出できずダイカスト内に巻き込まれて発生
- チップ潤滑剤あるいは離型剤の油成分が高温の溶湯に接してガス化し、ダイカスト内に巻き込まれて発生
- 型温が低い場合やエアーブローが不足した場合などに外冷水が金型に残り、ガス化してダイカスト内に巻き込まれる為に発生
基本的に、溶融金属内に空気やガスの混入によって発生します。そのため、溶湯温度の調整や最適な量の溶解金属の供給、ガスの発生を防ぐなどして、溶融金属内に空気やガスの混入を防ぐ必要があります。
▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。
鋳巣の種類
鋳巣には、下記の3つの種類があります。
- ひけ巣
- ブローホール
- ピンホール
それぞれ順番にご説明します。
種類①:ひけ巣
ひけ巣とは、鋳造の肉厚部や急激な肉厚変化が生じた部分の内部に発生する空洞です。比較的大きく、複雑な形状をしていることが特徴です。ひけ巣は、金属が液体から固体になるときに体積が減少する「凝固収縮」と呼ばれる現象によって発生します。
そのため、溶湯が凝固する際に、凝固収縮する体積分の金属を補給することでひけ巣の発生を防げます。しかし、補給のタイミングが少しでも遅れると、凝固が進み、補給経路が閉ざされるため、ひけ巣が発生してしまいます。
ひけ巣の発生対策には、下記のような方法があります。
- 肉厚部を作らず、均肉化する
- 凝固収縮する体積分の金属を補給する
種類②:ブローホール
ブローホールとは、鋳造内に発生する丸みを帯びた空洞です。ブローホールは、鋳造のときに、空気やガスが巻き込まれることが原因で発生します。
そのため、空気やガスの流入を防止することでブローホールを防げます。ブローホールの発生対策には、下記のような方法があります。
- 板表面上のほこり除去
- 開先面およびワイヤの脱脂
- 酸化皮膜の除去
- 溶接材料の洗浄、乾燥
種類③:ピンホール
ピンホールとは、ブローホールよりも小さい鋳造内に発生する丸みを帯びた空洞を指します。
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弊社の鋳巣の対策方法
弊社では、ご紹介した対策方法に加え、縦型#30 高速切削加工機を使ったテスト加工も行なっております。
テスト加工
鋳巣は適切に対策をすることで、高確率で防ぐことは可能ですが、100%皆無にすることはできません。但し、鋳巣を無くすための様々な、方法があるのは事実です。テスト加工を実施し、鋳巣発生状況を生産直後に確認ができるメリットがあります。
具体的には、毎ロット社内のテスト用の機械で加工を実施し、鋳巣発生の有無をチェックし、合格したもののみ出荷しています。
▼コンタマシンによる内部品質確認
まとめ
本記事では、ダイカスト製品で起きる不良、鋳巣(ちゅうす)について、種類や原因、弊社で実施している対策について解説しました。鋳巣(ちゅうす)は、対策方法こそありますが、気づきにくい不良の1つです。帝産大鐘ダイカスト工業では、こういった気付きにくい不良に関しても、今回ご紹介したような製品の品質を支える様々な仕組みがあります。
生産途中に鋳巣不良による生産ラインSTOPに陥らないためにも、ダイカスト製品の鋳造は、帝産大鐘ダイカスト工業にお任せください。
鋳巣で悩んでいるなら、弊社にお問い合わせしてください。