「アルミダイカストは錆びない」、そんな噂を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ただ、アルミダイカストが錆びることはあります。
原因を理解し、適切な対策を施すことが重要です。
帝産大鐘ダイカスト工業が運営する薄肉・高精度ダイカスト 開発センターでは、お客様の技術課題、生産や調達に関するお困りごとを一緒になって解決に取り組みます。当社では高品質・コストダウン・製造リードタイムの短縮といったメリットを提供するために数々の技術提案も豊富にございます。アルミダイカストの技術を使って製品の軽量化を実現したいとお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
目次
▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。
アルミダイカストとは
アルミダイカストとは、溶かしたアルミニウム合金を高速かつ高い圧力で金型に充填する鋳造方式です。
精密かつ瞬時に製品を生産できるため、広く利用されています。
また、表面が美しく仕上がり、技術者に依存せずに製品を大量生産できることも強みです。
特に自動車部品の製造では、メジャーな鋳造方式として多くの場で活躍しています。
ダイカストとは
ダイカストとは、金型に溶かした金属を高速で充填し冷却することで製品を生産する鋳造方式です。
溶かしたアルミニウム合金などを筆頭に、さまざまな合金を利用した鋳造に活用されています。
精密さ、生産性、表面の仕上がりなど、さまざまなメリットを誇る鋳造方式です。
ただ、金型は高価なものが多く、導入コストが高いことがデメリットとして挙げられます。
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アルミは錆びない?
「アルミは錆びない」、そんな噂を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
たしかに、アルミは非常に錆びにくい金属です。
それにもかかわらずアルミが錆びることはあります。
というのも、完全にアルミ100%の純度で作られている製品はほとんど存在しないからです。
強度を高めたり、コストを抑えたりするために、「アルミを多く含む合金」であるケースが一般的です。
これはアルミに限られる話ではなく、ステンレスなどの錆びにくいとされている金属にも当てはまります。
一方、純度が最重要視される装飾品は、極めて錆びにくいと評価されています。
アルミダイカストの錆色は「白」
アルミダイカストに発生する錆は白い色をしています。
錆と聞くと、鉄などにこびりついた茶色の錆を想像する方が多いかと思いますが、アルミに発生する錆は白い汚れのような見た目です。
純度の問題以外でアルミダイカストが錆びる3つの理由
純度の問題以外でアルミダイカストが錆びる理由を3つ解説します。
アルミダイカストに錆が発生する一番の要因は、そもそもアルミダイカストがアルミ純度100%で作られていないからです。
しかし、錆が発生するのには純度以外の理由も考えられます。
主な理由は下記の3点です。
- 異種金属接触腐食による錆
- アルミニウムの孔食による錆
- アルミニウム合金の粒界による腐食
理由①:異種金属接触腐食による錆
純度の問題以外でアルミダイカストが錆びる理由の1つ目は、「異種金属接触腐食」です。
アルミニウムは電位が低い金属です。
そのため、電位の高い物質と接合しながら用いると、腐食が原因で錆が発生してしまいます。
理由②:アルミニウムの孔食による錆
純度の問題以外でアルミダイカストが錆びる理由の2つ目は、「アルミニウムの孔食」です。
孔食とは、アルミニウムなどに起きやすい局所的な腐食のことです。
塩化物イオンが原因で酸化アルミニウムが傷ついてしまい錆が発生します。
理由③:アルミニウム合金の粒界による腐食
純度の問題以外でアルミダイカストが錆びる理由の3つ目は、「アルミニウム合金の粒界」です。
アルミニウムは小さな粒が集まって形成されています。
わずかながら粒と粒には隙間が存在します。
この隙間は腐食に弱く、錆が発生しやすい箇所です。
アルミダイカストの錆を防ぐ4つの方法
アルミダイカストの錆を防ぐ方法を4つ解説します。
- アルマイト処理
- めっき
- ADC12化成処理
- カチオン電着塗装
方法①:アルマイト処理
アルミダイカストの錆を防ぐ方法の1つ目は、「アルマイト処理」です。
アルマイト処理は、アルミダイカストの錆や腐食を防ぐためのメジャーな対策です。
表面に酸化膜を作ることで、錆を防止します。
アルミダイカストの強度を高め、キレイな状態に保つことができます。
広く用いられている処理方法ですが、鋳造用の合金には向いていません。
方法②:めっき
アルミダイカストの錆を防ぐ方法の2つ目は、「めっき」です。
めっきとは、アルミダイカストの表面に別の金属を塗り付ける処理のことです。
表面をアルミダイカストよりも耐食性に優れた金属でコーティングすることで、錆を防止します。
方法③:ADC12化成処理
アルミダイカストの錆を防ぐ方法の3つ目は、「ADC12化成処理」です。
ADC12化成処理とは、優れた合金の一種であるADC12を利用することで耐食性を高める対策です。
ADC12化成処理は主に下記の2種類に分けられます。
- 三価クロム系
- ジルコニウム系
⦅三価クロム系⦆
直接ADC12の表面に化成皮膜処理を施す方式です。
⦅ジルコニウム系⦆
ジルコニウム系はクロムを用いない処理であり、ノンクロム化成処理とも呼ばれています。
三価クロム系と比較すると耐食性に劣る点がデメリットです。
方法④:カチオン電着塗装
アルミダイカストの錆を防ぐ方法の4つ目は、「カチオン電着塗装」です。
カチオン電着塗装とは、水溶性の電着塗料を用いることで、電流により塗料を付着させる方式です。
ムラなく均等に表面をコーティングできることが魅力です。
まとめ
今回はアルミダイカストの錆について解説しました。
アルミニウムは錆びにくいと考えられていますが、アルミダイカストに錆が発生する可能性はあります。
適切な対策を施し、錆を防止しましょう。
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