「アルミダイカストに塗装処理を施して耐食性を向上させたい」
「塗装処理によってアルミダイカストの表面を美しくしたい」
そう考えている方の中には、アルミダイカストに塗装処理は行えるのかわからない方も多いと思います。
結論として、アルミダイカストへの塗装は可能です。
ただ、しっかりと注意すべき点を理解して塗装を施さなければ失敗してしまう可能性があります。
この記事では、アルミダイカストへの塗装に関して、注意すべき点や前処理工程を解説します。
帝産大鐘ダイカスト工業が運営する薄肉・高精度ダイカスト 開発センターでは、お客様の技術課題、生産や調達に関するお困りごとを一緒になって解決に取り組みます。当社では高品質・コストダウン・製造リードタイムの短縮といったメリットを提供するために数々の技術提案も豊富にございます。アルミダイカストの技術を使って製品の軽量化を実現したいとお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
目次
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アルミダイカストへの塗装は可能?
アルミダイカストへの塗装は可能です。
塗装することにより、表面を美しくしたり、錆が発生しにくくしたりできます。
多くの金属製品にとって塗装が有効な表面処理方法であるように、アルミダイカストへの塗装にも大きな価値があります。
ただ、注意すべき点を踏まえつつ正しい工程で塗装を行わなければ、思わぬ失敗が起きてしまいかねません。
アルミダイカストへの塗装に関して正しい理解を身に付けましょう。
アルミダイカストに塗装する際の2つの注意点
アルミダイカストに塗装する際の注意すべき点を2つご紹介します。
- 密着不良や外観不良が起こる可能性がある
- 研磨やパテ埋めが必要になる場合がある
注意点①:密着不良や外観不良が起こる可能性がある
アルミダイカストに塗装する際の注意すべき点の1つ目は、「密着不良や外観不良が起こる可能性があること」です。
基本的に、密着不良の原因は前処理の段階にあるとされています。
ただ、適切な塗料でクロム酸処理を施したとしても、アルミダイカストでは密着不良が生じる可能性があります。
アルミダイカストは、アルミニウムをメインに作られていますが、アルミニウム100%で作られているわけではありません。
アルミニウムを多く含む合金で作られています。
合金が充填されると内部にバラツキが生まれるため、密着不良が生じやすい状態になります。
対策には、正しい工程が行われているかを確認することが重要です。
工程に問題がないのにもかかわらず密着不良が改善しない場合は、適切な表面処理を施す必要があります。
ショットブラストを用いて表面を削ったり、前処理工程にエッチングを加えたりすることが有効です。
合金ならではのバラツキに注意することが重要です。
【関連記事】アルミダイカストの表面処理について徹底解説!メリットとデメリットも紹介
注意点②:研磨やパテ埋めが必要になる場合がある
アルミダイカストに塗装する際の注意すべき点の2つ目は、「研磨やパテ埋めが必要になる場合があること」です。
アルミダイカストに塗装するとなると、適切な後加工が必要になります。
たとえば、ねじ加工などの削る作業を伴う加工なら、製造した製品の見た目に問題が生じます。
許容できない汚れや変色に対しては、研磨やパテ埋めの作業が必要です。
アルミダイカストの塗装前に施す前処理工程
アルミダイカストへの塗装を上手く施すためには、適切な前処理が欠かせません。
むしろ、塗装が上手くいくかどうかの要は前処理にあります。
アルミダイカストへの塗装を目的とした前処理にはさまざまな種類があり、特に有効な前処理の種類はクロム酸処理です。
クロム酸処理のメリットは、密着力が高く錆に強いことです。
また、クロム酸処理の中にもいくつかの種類があり、「6価クロム酸処理」が特に性能面で優れています。
ただ、昨今では環境の変化により、「6価クロム酸処理」よりも性能で劣る「3価クロム酸処理」が広く利用されています。
アルミダイカストに塗装する際の工程は3つ
アルミダイカストに塗装する際の工程は主に3つです。
- 外装部品に対する塗装
- 内装部品に対する塗装
- 外観検査が厳しいものに対する塗装
工程①:外装部品に対する塗装
アルミダイカストに塗装する際の工程の1つ目は、「外装部品に対する塗装」です。
外装部品に対する塗装は、主に下記のステップで進められます。
- 前処理
- プライマー
- 中塗り
- 上塗り
- 乾燥
外装部品の場合は、高い防錆力が要求されます。
工程②:内装部品に対する塗装
アルミダイカストに塗装する際の工程の2つ目は、「内装部品に対する塗装」です。
内装部品に対する塗装は、主に下記のステップで進められます。
- 前処理
- 上塗り
- 乾燥
内装部品には外装部品ほどの防錆力が要求されません。
そのため、外装部品に対する塗装と比べると、少ないステップで塗装が完結します。
工程③:外観検査が厳しいものに対する塗装
アルミダイカストに塗装する際の工程の3つ目は、「外観検査が厳しいものに対する塗装」です。
外観検査が厳しいものに対する塗装は、主に下記のステップで進められます。
- 前処理
- 下塗り
- 乾燥
- ペーパー処理
- 上塗り
- 乾燥
ダイカストで作る製品によっては、厳しい外観検査が要求されます。
まとめ
今回はアルミダイカストへの塗装について、注意すべき点や前処理を中心に解説しました。
アルミダイカストに塗装を施すと、表面を滑らかにしたり、防錆力を高めたりできます。
注意すべき点を理解し、適切な処理の実施を意識することが重要です。
もっと塗装を深く理解したい、ご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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