「アルミダイカストにおける材料や合金の違いがよくわからない」、アルミダイカストの材料は専門的な用語が多く、細かな違いがわからなく困っている方は多いのではないでしょうか。
たしかに、アルミダイカストの材料や合金には種類が多く、まとめて理解するのは簡単ではありません。
この記事では、アルミダイカストにおける主な材料や合金を網羅的に解説するので、ご参考にしてください。
帝産大鐘ダイカスト工業が運営する薄肉・高精度ダイカスト 開発センターでは、お客様の技術課題、生産や調達に関するお困りごとを一緒になって解決に取り組みます。当社では高品質・コストダウン・製造リードタイムの短縮といったメリットを提供するために数々の技術提案も豊富にございます。アルミダイカストの技術を使って製品の軽量化を実現したいとお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
目次 ▼弊社のダイカスト製品の製造事例はコチラからご覧いただけます。
アルミダイカストの材料とは
アルミニウムの合金から作られているアルミニウムには、さまざまな種類があります。
まずは「アルミダイカストとは何か」の理解を深めましょう。
アルミダイカストとは
アルミダイカストとは、アルミニウム合金で作られたダイカストです。
ダイカストとは、溶かした金属を金型に流し込む金属加工法であり、精密性や加工スピードに優れています。
精密な金型に溶融金属を高速かつ高圧力で充填することで、複雑な形状の加工物でも瞬時に生産できます。
アルミダイカストとは、金型がアルミニウム合金で作られているダイカストです。
ダイカスト生産量の内の90%以上はアルミニウム合金で作られており、メジャーなダイカストとして広く利用されています。
アルミダイカストの材料・合金の分類分け
アルミダイカストの材料・合金の分類を2つご紹介します。
- Al-Si系合金
- Al-Mg系合金
分類①:Al-Si系合金
アルミダイカストの材料・合金における分類の1つ目は、「Al-Si系合金」です。
成分に「Si=シリコン」を多く含みます。
特徴は、熱膨張率が低く、耐摩耗性に優れていることです。
他のアルミニウム合金と比較すると融点が低いため、溶かして使う方法に重宝されています。
また、Al-Si系合金は主に以下の3種類に分けられます。
- Al-Si系
- Al-Si-Mg系(Al-Si系合金にMgを追加)
- Al-Si-Cu系(Al-Si系合金にCuを追加)
MgやCuを添加することで、耐熱性が向上します。
分類②:Al-Mg系合金
アルミダイカストの材料・合金における分類の2つ目は、「Al-Mg系合金」です。
成分に「Mg=マグネシウム」を多く含み、溶接性の高さが主な特徴です。
また、Al-Mg系合金に添加するマグネシウムの含有率は0.5〜5%と幅広いことも理解すべきポイントでしょう。
というのも、マグネシウムの含有率によって性質が大きく異なるからです。
マグネシウムの含有率を高めることで強度も高まりますが、応力腐食割れのリスクも高まってしまいます。
そのため、強度のアップと応力腐食割れのリスクを天秤にかけて含有率が決定されます。
【関連記事】ダイカストで製造できる製品例をご紹介
アルミダイカストの材料・合金の種類
アルミダイカストの材料・合金の種類を7つご紹介します。
- ADC12
- ADC5
- ADC6
- AC3A
- ADC14
- HT-1
- DM-2
種類①:ADC12
アルミダイカストの材料・合金の種類の1つ目は、「ADC12」です。
ADC12はバランスの高さが特徴のアルミニウム合金です。
機械的質や鋳造性が高く、他のアルミダイカスト合金と比較して価格も安いため、現在生産されているアルミダイカストの90%以上はADC12であるといわれています。
デメリットは、耐食性があまり高くないことです。
種類②:ADC5
アルミダイカストの材料・合金の種類の2つ目は、「ADC5」です。
ADC5は耐食性が非常に優秀であることが特徴のアルミニウム合金です。
ただ鋳造性が低いため、複雑な形状の鋳造には向いていません。
種類③:ADC6
アルミダイカストの材料・合金の種類の3つ目は、「ADC6」です。
ADC6はADC5の次に耐食性が高いといわれているアルミニウム合金です。
また、鋳造性は若干ADC5より優れています。
種類④:AC3A
アルミダイカストの材料・合金の種類の4つ目は、「AC3A」です。
AC3Aは耐力を不得意としますが、流動性と耐食性に優れているアルミニウム合金です。
複雑な形状の加工や薄肉材料を活用する加工に適しています。
種類⑤:ADC14
アルミダイカストの材料・合金の種類の5つ目は、「ADC14」です。
ADC14は耐衝撃に対して強くありませんが、耐摩耗性に優れたアルミニウム合金です。
高温化でも高い強度を発揮する点が評価されています。
種類⑥:HT-1
アルミダイカストの材料・合金の種類の6つ目は、「HT-1」です。
HT-1は耐食性や流動性、熱伝導率に優れたアルミニウム合金です。
そのため、発熱する機器の部品に重宝されています。
種類⑦:DM-2
アルミダイカストの材料・合金の種類の7つ目は、「DM-2」です。
DM-2は、引張強度の低さをネックとしますが、耐食性や耐熱性が高く、熱伝導率や電気伝導率も優秀なアルミニウム合金です。
美しい金色であるため、装飾品の生産によく活用されています。
アルミダイカストの特徴
ここまでアルミダイカストの材料や合金について解説しましたが、共通してアルミダイカストにみられる特徴をご紹介します。
アルミダイカストの特徴は、以下の4つになります。
- 大量生産に向いている
- 寸法精度が高い
- 表面が美しく仕上がる
- 加工時に多くの専門的な知識や技術が要求されない
自動車部品の生産を中心に、さまざまな製品の生産に利用されています。
まとめ
今回はアルミダイカストの材料や合金について解説しました。
アルミニウム合金にはたくさんの種類があり、それぞれの強みと弱みを理解することが重要です。
もっとアルミダイカストを深く理解したい、ご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
【関連記事】アルミダイカストに熱処理は不可能?熱処理の方法・メリットを紹介!
【関連記事】ダイカストの欠陥が起きる理由|欠陥13個の原因と対策を紹介!
【関連記事】いまさら聞けない方へ!アルミダイキャストの強度はどのくらい高いか解説