「金型に入れ子を使うメリットって何?」
「そもそも入れ子ってどんな部品?」
という疑問をお持ちの方は多いでしょう。
入れ子は金型を用いる加工の生産性を大きく向上させる部品です。
ただ、万能な部品ではないので、しっかりと特徴や種類を理解しておきましょう。
目次
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金型の入れ子とは
金型の入れ子とは、金型とは別にはめ込む部品のことです。
ひとつの金型だけでは生産できない製品だとしても、入れ子を用いることでスピーディーに生産できます。
入れ子を用いる場合、メインの金型となる部品を「母型」と呼ぶのに対し、はめ込む部品を「入れ子」と呼びます。
金型のみを使う方法と比較すると、入れ子を使う方法は導入コストが高く、セッティングにも時間がかかってしまいます。
ただ、生産工程全体で考えると時間の短縮になるので、むしろ生産力は向上するでしょう。
また、長期的に考えると、入れ子を利用するとコストを抑えられます。
というのも、わざわざ金型をすべて変更する必要がない場合には、入れ子だけを交換したりメンテナンスできたりするからです。
生産期間が長くなるほど、中子の導入費用は割安になります。
金型の入れ子と中子の関係性
中子とは、製品の内部に空洞や穴を開けたい場合に用いる部品です。
筒状の製品やパイプ状の製品を生産する際によく用いられています。
ひとつの金型を使うだけでは、どうしても製品の空洞部分を作れません。
中子を使うことで、少ない工程で穴の開いた製品を生産できます。
【関連記事】鋳造における「中子」とは?製造方法や注意点もあわせて紹介
金型における入れ子構造以外の種類
金型には、入れ子を用いる以外にもさまざまな構造があります。
入れ子構造以外の金型の構造を3種類解説します。
- 直彫り型
- ユニット入れ子型
- 共通主型
種類①:直彫り型
金型における入れ子構造以外の種類の1つ目は、「直彫り型」です。
直彫り型とは、名前のとおり金型に直接加工を加える種類の構造です。
たとえば、凹凸部分を含む製品を製造したい場合、金型に直接加工を施します。
小型のダイカストマシンを用いる加工でメジャーな方法です。
金型に直接加工を施すため、短時間で加工を進められます。
種類②:ユニット入れ子型
金型における入れ子構造以外の種類の2つ目は、「ユニット入れ子型」です。
ユニット入れ子型とは、複数の入れ子をはめ込む種類の構造です。
冷却管を搭載した入れ子やガイドピンを持つ入れ子など、さまざまな入れ子を同時に用います。
それぞれの入れ子を自由に利用したり、簡単に取り外したりできるので、臨機応変に活用できます。
種類③:共通主型
金型における入れ子構造以外の種類の3つ目は、「共通主型」です。
共通主型とは、異なる形をする複数の入れ子を同じ金型にはめ込む種類の構造です。
シンプルな構造であるため、扱いやすいことで知られています。
ただ、製品を生産するために用いられることは少なく、試作用の部品を生産する場合によく用いられています。
金型を入れ子構造にする3つのメリット
金型を入れ子構造にするメリットを3つご紹介します。
- 加工性が高まる
- 金型自体の耐久性が高まる
- 冷却性が高まる
メリット①:加工性が高まる
金型を入れ子構造にするメリットの1つ目は、「加工性が高まること」です。
当然ながら、ひとつの金型のみを用いる方法では生産できる製品の形は限られます。
入れ子を用いると、細かい凹凸を作れるため、複雑な形状をした製品でも問題なく生産できます。
また、金型を直接加工して凸形状の製品を生産しようとしても、一度にまとめて切削できないことがデメリットとして挙げられます。
製品を完成させるまでのステップが増えてしまうため、生産性には課題が残るでしょう。
一方、入れ子を用いれば少ない手順で切削を完結させられます。
メリット②:金型自体の耐久性が高まる
金型を入れ子構造にするメリットの2つ目は、「金型自体の耐久性が高まること」です。
入れ子を用いる加工ではガス抜きができます。
金型を直接加工して筒状の形状を作ると、奥にガスがたまってしまい、それが原因で形状が崩れてしまう可能性があります。
一方で、入れ子を用いれば金型に直接加工を施す必要はないため、形状が崩れるリスクを抑えられます。
メリット③:冷却性が高まる
金型を入れ子構造にするメリットの3つ目は、「冷却性が高まること」です。
高精度で製品を安定して生産しつづけるには、成形後に均等に冷却していく必要があります。
ただ、金型の形を複雑に変形させてしまうと、冷却した際に均等に冷えにくくなってしまい、結果として製品に不具合が発生してしまいかねません。
入れ子を用いた加工では、冷却性を均一に保ちやすいため、安定して高品質な製品を生産できます。
金型を入れ子構造にする際の注意点
金型を入れ子構造にする際の注意点は、内部の部品の生産以外には向いていないことです。
というのも、入れ子を用いて加工すると、どうしても分割した線が製品に付いてしまいます。
機械や車などの内部に用いる部品ならば、機能面のみが重視されるため問題はありません。
ただ、目視できる部品や、滑らかな表面が要求される部品の製造には、入れ子の利用は適していません。
まとめ
今回は金型における入れ子についてご紹介しました。
入れ子を上手に活用すると、生産力を飛躍的に上げられる場合があります。
もっと入れ子を深く理解したい、ご相談したいという場合は、気軽に当社へお問い合わせください。
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