鋳造技術を利用すれば、金属を型枠に入れることでさまざまな形へと簡単に変えることができます。
たとえば、自動車パーツや住宅建材、家具など、私たちの周りにあるものには、鋳造技術が利用されています。
その鋳造技術のひとつに、真空ダイカストと呼ばれる技法があります。
「真空ダイカストという鋳造技術は、非常に優れていると聞くけれど詳しくは知らない…」「真空ダイカストが優れているのは知っているけど、大きな欠点がないか気になる…」という方は、多いのではないでしょうか。
今回は、真空ダイカストの製造ができるメーカーを探している企業様に向けて、真空ダイカストの技術の特徴や欠点についてわかりやすく解説していきます。
目次
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真空ダイカストとは
真空ダイカストとは、特殊ダイカスト法のひとつで、真空を有効利用することで、キャビティ内に含まれるガスを排気していく鋳造技術をいいます。
真空ダイカストについて学んでいると、ダイカストやキャビティという言葉が頻出します。
初めて聞いたという方もいるかと思いますので、簡単にまとめておきます。
ダイカストとは、鋳造技術のひとつで、金型に非鉄金属の合金を流すことで、素早く製品を製造する技術のことです。
一般的にアルミニウムや亜鉛などが利用されます。
一方で、キャビティとは、金型の凹部のことです。
凸部は、一般的にコアといわれています。
また、キャビティは、空洞を意図しているケースがありますので、どのような意図で利用されているのか、その場の会話の流れで推測することをおすすめします。
なお、真空ダイカストにおけるキャビティは、空洞という意図なので、頭の片隅に入れておきましょう。
真空ダイカストは、主に一般的なダイカスト法よりも品質レベルの高い製品を鋳造するために採用される技法です。
真空ダイカスト法の利点については後述しますが、酸化物生成や空気の巻き込みを抑えられるため、鋳造欠陥の発生を防止できます。
真空ダイカストの製造方法
先ほど、キャビティは空洞を意図する言葉とお伝えしましたが、この空洞を真空タンクで減圧していきます。
その結果、金型内が減圧されて真空になっていきます。そこに高温で溶かした金属(溶湯)を射出します。
真空ダイカスト法の利点
次に、真空ダイカスト法には、どのような利点があるのかについてご説明します。
利点①:製造欠陥が少ない
真空ダイカスト法の最大のポイントは、真空環境で鋳造ができることです。
その結果、空気の巻き込みや酸化物生成を抑えられます。たとえば、空気の巻き込みが生じると、鋳物に空洞ができてしまいます。
この空洞は、鋳巣と呼ばれ、本来あってはいけない鋳造欠陥とされています。
鋳巣は、鋳物の表層に現れ、強度を下げるため回避すべきものなのです。
真空ダイカスト法なら、鋳物による鋳造欠陥の問題発生リスクが下げられます。
利点②:熱処理や溶接が可能
一般的に製造欠陥(鋳巣)が生じたものに熱処理を行うと内部欠陥の発生につながります。
しかし、真空ダイカスト法なら、熱処理や溶接が可能となるため、その懸念がない(減る) というのは、大きな利点です。
利点③:湯回りが良い
真空ダイカスト法は、金型キャビティを真空タンクで減圧し、本来存在していた空気を減らす技法のため、非常に湯回りが良くなります。
なぜ、湯回りが良くなるのかというと、真空だからです。
真空環境は、溶湯の流れを阻害するガスが少ないため、湯回りがしやすいのです。
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真空ダイカスト法の欠点
一方で、真空ダイカスト法には、どのような欠点があるのでしょうか。
鋳物の製造を依頼する前に知っておきたい真空ダイカスト法の欠点についてご説明します。
欠点①:真空ダイカスト用の金型が必要
真空ダイカスト法を利用するには、密閉性の高い環境が必要です。
そのため、一般的な金型ではなく、真空ダイカスト用の金型が必要となります。
欠点②:減圧装置など特殊な設備が必要
一般的な鋳造技術の中でも真空ダイカスト法は、密閉性の高い金型はもちろん、減圧装置を含めた特殊な設備がなければできない技法です。
そのため、どこのメーカーでもできるわけではないということを覚えておきましょう。
欠点③:設備コストが高い
真空ダイカスト法を会社で採用するには、特殊な設備を揃えるために、多くの費用が必要です。
つまり、鋳物メーカーにとっては、設備コストが高くなるため、技術として簡単に採用できない背景があります。
まとめ
真空ダイカスト法は、真空環境を有効利用した、鋳造欠陥リスクを最大限抑えられる便利な鋳造技術です。
しかし、真空ダイカスト法は鋳造メーカーによっては、設備投資や技術、経験の関係で、採用していないという会社も少なくありません。
また、真空ダイカスト法は優れた技術なのだということを知り、鋳造メーカーに鋳物製造を頼みたいと思っても、「本当に真空ダイカスト法の利用が良いの?」や、「別の鋳造技術の方が良いのでは?」と疑問に感じていることもあるかと思います。
その場合は、仕事を依頼する前に鋳造メーカーに真空ダイカスト法がベストな技術なのか事前相談してみましょう。
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